新型出生前診断のほかにもある?出生前診断の種類とは
赤ちゃんが生まれる前に、どのような病気や異常を持っているかを調べる「出生前診断」。出生前診断は「非確定的検査」と「確定的検査」の2種類に大別でき、近年話題になっている「新型出生前診断」は、そのうち非確定的検査に該当します。今回は、新型出生前診断以外にもある出生前診断の種類についてご紹介します。
非確定検査
それだけでは診断がつかない検査のことを「非確定的検査」といいます。非確定的検査には新型出生前診断(NIPT)やコンバインド検査、母体血清マーカー検査があります。
新型出生前診断(NIPT)【9~10週以降】
「新型出生前診断(NIPT)」とは、妊娠10週以降に妊婦さんの採血を行い、血液中にある赤ちゃんのDNAの断片を分析する検査のことをいいます。21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの有無を調べることが可能です。この検査は近年開始されたもので、従来の非確定的検査と比べて精度が高いため注目を集めています。とはいえ、非確定的検査であることに違いはないため、陽性判定が出た場合は診断をつけるために確定検査を受ける必要があります。
コンバインド検査【11~13週】
超音波検査と採血での検査を組み合わせた検査が「コンバインド検査」です。2つの検査を組み合わせることで、ダウン症候群と18トリソミーのリスク評価の精度を高めています。超音波検査ではNT(赤ちゃんの首の後ろのむくみ)を測定。採血では胎盤由来の2つのタンパク質(2つの血清マーカー)の値を測定します。
コンバインド検査では、それらの値に加えて、妊娠週数や妊婦さんの体重、家族歴、1型糖尿病の有無など、さまざまな情報をもとに、赤ちゃんに疾患があるかどうかの確率を出します。超音波検査で何らかの所見が確認された場合でも、その後の確定的検査で染色体の変化が見つからないこともあります。
母体血清マーカー検査【15~18週】
「母体血清マーカー検査」は、妊娠15週~妊娠18週ごろまでに妊婦さんの採血を行い、赤ちゃんの21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、開放性神経管奇形(二分脊椎や無脳症など)の確率を出す検査です。これらの血清マーカーの値は妊娠週数が進むにつれて増えたり減ったりしますが、赤ちゃんが検査の対象疾患である場合は異常値となります。
この検査は、採血のみで調べることができるためリスクは低いですが、妊婦さんの年齢や体重、妊娠週数、家族歴などが確率に影響されます。また、あくまで確率であるため、正確なことは確定検査をするまではわからないという面もあります。
確定検査
非確定検査がそれだけで診断のつかない検査であるのに対し、確定的検査はそれだけで診断が確定する検査です。
絨毛検査【11~14週】
「絨毛検査」は妊娠11~14週ごろに妊婦さんのお腹に針を刺して胎盤の中にある絨毛細胞を採取し、お腹の中の赤ちゃんの染色異常の有無を診断する検査です。合併症としては、流産や出血、破水、腹痛、胎児の受傷などがあり、流産の確率は約1%(1/100)です。
羊水検査【15~16週以降】
妊娠15~16週以降に、妊婦さんのお腹に針を刺して羊水を採取して分析し、染色体異常の有無を診断する検査が「羊水検査」です。合併症としては、流産など絨毛検査と同様のものが挙げられます。しかし、流産の確率は絨毛検査よりもやや低く、約0.3%(1/300)程度とされています。絨毛検査に比べて検査可能時期が遅く、また手技が比較的容易であることなどから、確定検査は羊水検査を選択する人が多いといわれています。
非確定検査と確定検査の違い
非確定検査と確定検査の違いはどこにあるのでしょうか。
検査の受けられる週数
非確定検査は検査の種類によって、妊娠週数の早い段階から受けることができます。新型出生前診断(NIPT)であれば、10週以降に受けることが可能です。それに対して、確定検査が受けられるのは早くても妊娠11週以降となっています。
リスクの有無
非確定的検査は、超音波(エコー)や採血のみで検査ができ流死産のリスクがありませんが、確定検査はお腹に針を刺して羊水や絨毛を取るため流死産のリスクが伴います。
こういったリスクを避けるため、医療機関からは確定的検査の前にリスクのない非確定的検査を受けることを勧められる場合があります。
診断が確定されるかどうか
非確定的検査で分かるのはあくまでも「染色体疾患が疑われる確率」であり、陽性結果が出たとしても診断が確定されることはありません。確定させる場合、羊水検査や絨毛検査などの確定検査を受ける必要があります。
今回は、新型出生前診断以外にもある出生前診断の種類についてご紹介しました。出生前診断には非確定検査と確定検査の2種類があり、受けられる週数やリスクの有無が異なります。「出生前診断が気になっているけれど、どの検査を受ければよいかわからない」という方はぜひ参考にしてください。