新型出生前診断(NIPT)とは
高年齢時における妊娠や出産の事例が増えていますが、このような社会状況から出産に際し高いリスクが生じる事が懸念され、生まれる前の胎児の健康状態を調べる事への関心が高まっています。大都市である愛知でも、略してNIPTと呼ばれる母体血胎児染色体検査による新型出生前診断や羊水検査等の高度医療などが行える医療施設は多くはありません。
胎児の出生前検診の重要性について
現在の日本では女性の社会進出が速い勢いで進み、多くの企業や国の機関において高い役職についている女性が増えました。このように女性の社会進出が進むに従い、結婚年齢も上がってきた事から妊娠や出産にともなうリスクが高くなっています。このようなリスクから、妊娠をした女性の体内の胎児の状況を胎児が生まれる前から知り、想定されるリスク回避を行う事が始められています。
このような出産前検診については、これまでもいくつかは行われて来ていましたが、最近の分子生物学の発展に伴い、細胞レベルや遺伝子レベルの新型出生前診断が可能になりました。従来の出産前検診として、超音波を用いた診断法を用いた胎児の内臓の形態を調べる方法がありますが、NIPTではさまざまの方法で染色体などを検査する事から母親の中にいる胎児が将来うける染色体異常などによるリスクを出産前から明らかにします。
この検査を行うためには、分子レベルで染色体や遺伝子を調べる必要がある事から極めて高度な設備や技術が必須となります。そのため、小さな町のクリニックなどでは必要な設備や専門のスタッフが整わず、実施する事ができません。充分な高度医療設備が設置され、かつそれを取り扱う医療技術を持った優れた医療従事者が多くいる事が重要です。このような高度医療施設は、大都市である愛知の中にもそう多くはない事を知っておくことは大変大切です。
新型出生前診断を含む検査の流れ
出産前検診は妊娠期間に適したものがあり、新型出生前診断を含め、時系列で説明を行います。妊娠がわかった時点では、胎児は小さくすぐには検査する事ができませんが、妊娠して最初の頃である妊娠28週から30週においては超音波診断による形態的観察で出産前検診が始まります。この検査は、その後の19週から20週、11週から13週の期間において継続的に行われますが、この検査により胎児の脳や心臓などの臓器に異常がないかを調べます。
その後、母体血清マーカー検査が行われます。この検査は採血のみで行う事ができるため母体や胎児にほとんど影響はありません。さらに、超音波による検査と血液検査を組み合わせたコンバインド検査で、より精密な検診が行われます。
これと時期を前後して行われるのが、絨毛検査や羊水検査という確定検査です。これらの検査は母体のお腹に針を刺して細胞や羊水の取得を行いるため、大変低いですが流産の危険性があります。
胎児が大きくなってきた妊娠9週以降になると、NIPTが実施されますが、実施行ためとしては採血のみが行われますので検査自体は母体や胎児への影響はありません。採取された血液から染色体の検査を行い、遺伝子的な異常がないかを検査します。これらの検診を行う事により、ダウン症などの染色体異常による病気を胎児が持っているかを出産前に知る事が可能になります。
新型出生前診断が行える医療機関について
ここまで説明を行って来たように、新型出生前診断を始めとする新たな医療技術により、胎児を出産する前に、染色体異常にともなうダウン症などの深刻な病気を持っているかを知る事ができます。しかし、このような医療技術を駆使できる設備を持った施設はそう多くはありません。愛知地区は全国の中でも医療技術が進んだ地域ですが、それでも新型出生前診断が行える施設はそう多くはありません。
この診断法は、充実した設備と医療スタッフを擁する大規模な高度医療機関でのみ実施可能です。往々にしてこのような高度な医療設備や技術を持つ施設は、口コミなどでは待ち時間が長いなどの評判が多く、このような口コミが出るのも、多くの人たちが高度医療を受けるために殺到する事で生じるものです。
ですから、むしろこのような評判がある所が医療技術の高さを表しているとも考えられます。医療設備の整った病院の待合室で待っている人たちがよくいう言葉に、この病院は待ち時間が長いけど待つだけの価値があるというものがあります。
口コミや評判を見る際、単に言葉の字面だけで判断をすると、その周辺にある大切な事を忘れがちになります。その意味する所を踏まえた裏側まで充分に考える事が大切です。その病院に行く事が自分にどのようなメリットを与えるかについて日頃から考え、メリットとデメリットを含め総合的に考える事が大切です。
高齢出産に伴い、最近行われる様になってきた新型出生前診断についての実情や、実施に必要な設備についての説明をしました。大都市である愛知でも、このような高度な医療行為を行える医療施設はそう多くはありません。これからも新たな出産前検診が開発されることが考えられますが、その恩恵をまず受ける事ができるのは、高度な医療施設を備えた病院に限られますので病院選びの際にはこの点の検討も必要です。